再生医療とは、日本再生医療学会によると再生医療とは「機能障害や機能不全に陥った生体組織・臓器に対して、細胞を積極的に利用して、その機能の再生をはかるもの」とされています。
わかりやすく言うと、薬などではなく「細胞の力」を使った新しい医療ということです。
では、「細胞の力」とは何でしょう。
トカゲやイモリのしっぽは切り離されてもまた元通りに戻ります。トカゲ、イモリほどではないですが、人間にも「再生する力」があります。再生する力=細胞の力です。
再生医療とは、けがや病気などによって失われた機能を「再生する力」を利用して、元通りに戻すことを目指す医療のことです。
人間の身体はおよそ60兆個の細胞からつくられています。その始まりはひとつの受精卵です。受精卵は細胞分裂を繰り返し、様々な細胞に成長し、血液、骨、皮膚、脳、心臓など組織や臓器が作られます。
このように細胞が様々な組織や臓器に変化することを「分化」といいます。
細胞には寿命があるため、細胞は分化すると、それ以上に細胞を増やすことができなくなり、やがて死んでいきます。例えば、肌をこすると垢が出ます。垢は死んだ細胞などが剥がれ落ちたものです。剥がれ落ちた垢の下にすでに新しい皮膚があるのは、組織の中には新しい細胞を作る役割の未分化な細胞があるからです。
分化し、皮膚や血液のように組織や臓器となった細胞は「体細胞」、これから様々な細胞になれる未分化な細胞は「幹細胞」と呼ばれています。
予防医療とは「病気になってから治療するのではなく、病気になりにくい身体をつくる」ということです。冬になるとインフルエンザワクチンの予防接種をする方が多いと思いますが、この予防接種も予防医療のひとつです。
食生活や運動などの生活習慣を改善する。予防接種を受ける。禁煙をする。ストレス解消をはかる。
健康診断や人間ドックを受ける。糖尿病、高血圧、高脂血症などの治療をする。
病気の回復や再発防止のためにリハビリテーションを受ける。治療を継続して増悪防止する。
昭和25年の死因は結核、脳卒中、肺炎でしたが、令和元年の死亡数を死因順位別にみると、第1位は悪性新生物(がん)で約38万人、第2位は心疾患(高血圧症を除く)で約21万人、第4位は脳血管疾患で約11万人となっています。全死亡者のおよそ3.7人に1人は悪性新生物(がん)が死因となっています。
悪性新生物、心疾患による死亡率は上昇傾向にあると言います。※1
1:厚生労働省 令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況
日本の総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は27.4%※2と、国民の4人に1人が高齢者です。高齢者の人口が7~14%の社会を「高齢化社会」、14~21%の社会を「高齢社会」、そして21%を超えると「超高齢社会」と呼んでいますが、日本は世界で最初に超高齢社会を迎えた国となりました。
国民医療費は毎年、増加傾向にあります。さらに、加齢に伴う医療ニーズの増大は、医療費に影響を及ぼしており、国民医療費の半分以上を占めています。※3
2:総務省統計局 人口推計(平成29年1月確定値)
3:厚生労働省 平成29年度国民医療費の概況
人間の身体はおよそ60兆個の細胞からつくられています。骨髄や脂肪組織などに存在する間葉系幹細胞は、脂肪や骨、筋肉、血管などに生まれ変わる力(分化能力)を持っています。また身体が傷ついた、機能が低下した部分があると、それを修復、再生する力(自己修復能力)も持ち合わせています。
線維芽細胞療法(肌の再生医療)は、手術や脂肪や異物などの注入を一切行わず、ご自身の肌細胞を培養し、移植する治療です。
老化や紫外線などのダメージにより少なくなってしまった線維芽細胞(肌細胞)を移植して増やすことで、老化症状が起こる前(線維芽細胞が少なくなる前)の肌本来の状態に戻す治療です。
ご自身の細胞を移植するので、安全性が高く、肌のハリやシワの改善などの若返り効果とともに、老化の進行を抑えるという働きがあります。
ANK自己リンパ球免疫療法はどんな部位のがんであっても治療対象です。
ANK(Amplified Natural Killer)自己リンパ球免疫療法(通称:ANK免疫療法、ANK療法)は、免疫細胞療法もしくは、活性化自己リンパ球移入法等と呼ばれるがん治療の一種です。
NK細胞は、自然免疫細胞の主要な細胞傷害性リンパ球の一種で、自然免疫細胞であるNK細胞は樹状細胞の情報を必要としないでがん細胞を破壊することができることから、生まれつきの細胞傷害性細胞という意味で名付けられた細胞です。
本治療法は、選択的にNK細胞を増殖・活性化し,再び体内に戻す治療法です。NK細胞は、さまざまながんに対して効果が期待できます。
BRM Activated Killer(生物製剤活性化キラー)療法の頭文字を取ったものです。
がん治療「免疫細胞BAK療法」は、国への届出、受理されたリンパ球を用いたがん免疫細胞療法です。使用する免疫細胞は自然免疫細胞のγδT(ガンマデルタ)細胞とNK細胞を主に使用して治療します。
患者さん自身の細胞・組織を培養等加工したものを用いて、失われた組織や臓器を修復・再生する医療のことです。
幹細胞とは、分裂して自分と同じ細胞を作る能力(自己複製能)と別の種類の細胞に分化する能力(分化能)の2つの特性があります。さまざまな研究が進んでおり、多能性幹細胞(iPS細胞・ES細胞)と体性幹細胞(造血幹細胞・神経幹細胞など)があります。
Stem sell(ステムセル)とは、幹細胞のことを指します。
iPS細胞(あいぴーえすさいぼう)は人工多能性幹細胞の総称です。ヒトの皮膚などの体細胞に4つの遺伝子を導入したもので、さまざまな細胞に分化する能力をもっています。
ES細胞(いーえすさいぼう)は受精卵から細胞を取り出して作製される多能性幹細胞のひとつで、あらゆる組織の細胞に分化することができます。
間葉系幹細胞とは、脂肪細胞、骨細胞、軟骨細胞、筋細胞、血管細胞などさまざまな細胞に分化できるといわれている細胞です。
MSCとはmesenchymal stem cellの頭文字をとったもので、間葉系幹細胞のことを指します。
細胞が特定の役割を持った細胞へ変化すること。
脂肪組織由来幹細胞とは、脂肪から抽出した幹細胞のことです。
線維芽細胞(真皮線維芽細胞)とは、皮膚の真皮に存在する細胞で、皮膚の機能を保つ上で重要な細胞です。
リンパ球とは、血液の中の白血球の成分のひとつ。ウイルスやがん細胞などの異物を攻撃します。
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)とは、ウイルスに感染した細胞やがん細胞などを発見すると攻撃するリンパ球の一種で、常に体内をパトロールしています。
標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療をいいます。
培養上清(ばいようじょうせい)とは幹細胞を培養した培養液から幹細胞を取り出し、滅菌処理などを施した上澄み液のことを指します。培養上清の中にはサイトカインや成長因子が豊富に含まれています。
成長因子とは、動物の体内において特定の細胞や分化を促すタンパク質の総称です。
さまざまな種類の成長因子があり、傷が治る過程で重要な役割を担っていたり、線維芽細胞を増殖させたり、毛髪再生にも関係します。
GF(グロースファクター)とは成長因子のことを指します。
院長ブログでも再生医療についてご紹介しています。
こちらの施術内容ページは医学的・専門的な内容の為、当院院長の三島 雅辰監修の元作成しております。
資格:日本外科学会認定医、日本医師会認定産業医