皆様、こんにちは。Gクリニックの院長の三島です。
記念すべき第10回目のブログは、幹細胞培養上清液についてご紹介させていただきます。
幹細胞培養上清液とは、脂肪・歯髄など体内に存在する幹細胞を培養し、その培養液から幹細胞を取り出し、滅菌処理などを行なった上澄み液のことを指します。
「幹細胞培養上清液(かんさいぼうばいようじょうせいえき)」と読みます。
人間の身体はおよそ60兆個の細胞からつくられています。骨髄や脂肪組織などに存在する幹細胞は、脂肪や骨、筋肉、血管などに生まれ変わる力(分化能力)を持っています。
幹細胞が増殖をする時には「サイトカイン」や「成長因子」と呼ばれるタンパク質を放出します。幹細胞自身から放出されたサイトカインや成長因子は幹細胞を育てる培養液の中にも豊富に含まれます。
培養液から幹細胞や不純物を取り除くことで、サイトカインや成長因子が豊富に含まれた幹細胞培養上清液がつくられます。
成長因子は、体内の損傷を受けた組織や細胞の機能回復に重要な役割を果たしています。老化などにより衰えた細胞の回復を後押しする作用や、美容に対するさまざまな効果が期待されます。
成長因子は、細胞活性のカギとなるタンパク質です。美容作用、抗炎症作用、活性酸素除去作用、血管再生作用など様々な効果が期待できます。
上皮細胞の成長・再生・修復を行い、新しい皮膚細胞をつくります。
細胞の生まれ変わり(肌ターンオーバー)を促進したり、新陳代謝を促進したりすることで、シミ・くすみ・しわの改善を図ります。
新しい血管を形成するために大きな役割を担っています。
血行を良くする働きがあり、毛根へ栄養を運ぶことで発毛を促します。新しい細胞を産生することでしわの防止·改善をします。
真皮内の幹細胞に線維芽細胞の増殖を促します。また、SOD(抗酸化酵素)を増やします。
新しい血管を形成や傷を治す働きがあり、コラーゲンとエラスチンの合成を行います。毛髪成長や肌にハリを与えます。
損傷を受けた皮膚細胞の再生を促します。コラーゲンの合成を促し、しわ改善を図ります。
コラーゲンやエラスチンなどの結合組織の合成·増殖を促します。また、細胞の分化·誘発などの老化を防ぐ働きがあります。
肌の弾力性を増す、炎症を抑える、傷の治りを早めるなどの効果があります。
損傷している細胞の再生をサポートします。新しい皮膚を再生し、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の生成を促すことで、しわ改善やハリ・弾力性を高めます。
また、顔や体の無駄な脂肪を燃焼させたり、毛根を刺激し毛髪を強くしたりします。
新しい血管を形成、組織の再生に関わります。
休止期の毛包を成長期へと誘導する働きがあり、発毛·育毛に関わります。
幹細胞培養上清液は主に注射、点滴を用いて投与します。お悩みに合わせて投与経路や注入部位を選択します。
成長因子には、細胞が傷ついた部位に集まろうとするホーミング効果があり、炎症を抑えたり、新しく血管を作ったりする働きをします。また、活性酸素除去作用もあり疲労回復などの効果が期待できます。
炎症を抑える、組織や神経を修復する働きをもつ成長因子は、痛みの改善効果も期待できます。ゴルフやテニスなどで痛めた関節の治療や、長年悩まされてきた四十肩、五十肩などの治療にも適しています。
患者様の中には、腰の痛みが改善されたことでゴルフのスコアが上がった方もいらっしゃいました。
肌ターンオーバーや血行を促進したり、コラーゲン・エラスチンなど肌の弾力に関わる物質の産生をおこなったりする働きによって美肌、美容作用があります。
肌老化の気になる部分に直接、幹細胞培養上清液を注射することで、クマや小じわを改善し、肌の弾力やハリを取り戻す効果が期待できます。
幹細胞培養上清液を直接、頭皮へ注射することにより毛母細胞を活性化させ、育毛・発毛を促します。また、ヘアサイクルの「休止期」にある毛髪を「成長期」という毛髪が活性化する時期に誘導する働きもあり、薄毛、抜け毛、AGAへの効果が期待できます。
飲み薬は使用しないため、女性でも安心して治療を受けていただけます。
血行促進や血管新生作用や、陰茎海綿体の内皮細胞再生の作用によってEDの改善が期待できます。当院では20代から60代と幅広い年齢層の患者様の治療をおこなっております。
幹細胞培養上清液にはデメリットも2点あります。
幹細胞培養上清液は主に注射・点滴を用いるため、針の穿刺時の痛みがあります。また、個人差はありますが、注射をした部位の赤みや腫れ、内出血が生じる場合があります。赤みや腫れ、内出血は数日~1週間程度で自然と治っていきます。
幹細胞培養上清液の中には血糖値をコンロトールする「インスリン」というホルモンが含まれています。そのため、点滴中~点滴後に低血糖の症状(めまい、冷や汗など)が生じるおそれがあります。点滴前にはしっかりと食事を摂ってきていただくようにお伝えしています。
その他にも、耳鳴りやアレルギー反応などが見られる可能性があります。これまでに当院で重大な副作用反応があった事例はありませんが、ヒト由来の製剤を使用するため、予測できないような副作用が起こる可能性は否定できません。
再生医療を用いた美容治療として、PRP療法も有名です。PRP療法はご自身の血小板を使用する再生医療で、美容医療のほか、整形外科や歯科で実用化されており、多くのスポーツ選手がPRP療法を選択するようになりました。
幹細胞培養上清液とPRP療法の違いをまとめました。
幹細胞培養上清液 | PRP療法 | |
---|---|---|
適応 | 痛みの緩和 美容(クマ、しみ、しわ、ニキビ跡、たるみなど) ED治療 AGA治療 エイジングケア(点滴) |
痛みの緩和 美容(クマ、しみ、しわ、ニキビ跡、たるみなど) |
効果の持続 | 長期間 | 短期間 |
メカニズム | 組織修復の中心的な役割を持ち、直接作用する。 | PDGFなどが修復を担当する細胞を集め、間接的に作用する。 |
幹細胞培養上清液もPRP療法も炎症を抑える作用がある、組織を修復する作用があるなど、効果を発揮するメカニズムがよく似ています。
実際に、幹細胞培養上清液の治療がどのように行われるのか説明していきます。
まずは、医師による診察、カウンセリングを受けていただき、どのようなお悩みかをヒアリングしていきます。次に、治療をする部屋に移動し、点滴での投与であれば血糖値の測定をしてから幹細胞培養上清液の点滴を投与していきます。局所注射であれば、気になる部分へ直接注射していきます。
治療時間は、点滴で60分程度、注射であれば15分程度で終了します。
点滴やED治療の場合、1回の治療で効果が実感できることが多いですが、美容治療や毛髪治療の場合、成長因子がはたらき効果を実感できるまで短い方だと数週間、長いと2~3ヶ月かかることが多いです。
治療間隔としては、4週間に1度の治療を続けていただくことを推奨しています。
幹細胞培養上清液はダーマペンなどの美容施術と併用することも可能です。
ダーマペンとは、極細針を使用して肌を傷付け、創傷治癒作用によって肌再生を図る治療です。ダーマペンの針で肌に微細な穴を開け、幹細胞培養上清液を肌全体に浸透させていきます。各種成長因子のはたらきによって美肌・エイジングケア効果を発揮します。
エレクトロポレーションとは、特殊な電気の力で一時的に細胞膜に隙間を作ることで美容液の通り道ができ、肌の深部まで美容液の有効成分を浸透させる施術です。
通常のメニューでは肌悩みに応じた美容液を使用しますが、幹細胞培養上清液に変更・追加することも可能です。肌の潤いやツヤ感などの効果が期待できます。