「性行為中に勃起できずに中断してしまう...」
「性行為がうまくできているか不安で中折れしてしまう..」
勃起が途中で萎えてしまうことを「中折れ」と言います。
中折れを何度か経験すると、男性としての自信を失い、性行為に不安を感じることもあるかもしれません。
途中で萎えてしまう「中折れ」はEDの一種であり、原因を特定し対処することが重要です。
この問題は自分一人のものではなく、パートナーである女性にも精神的な負担をかける可能性があります。
頻繁に中折れが起こると、パートナーとの関係が悪化するだけでなく、性機能への自信がますます低下し、結果として問題が悪化する負のスパイラルに陥ることがあります。
EDの原因には、ストレスや疲労といった精神的な要因のほか、隠れた病気のリスクも含まれることがあります。
本記事では、中折れの原因や解決方法について詳しく解説します。まずは原因を見つけ、適切な対策を講じることが大切です。
こちらのページは医学的・専門的な内容の為、当院院長の三島 雅辰監修の元作成しております。
中折れとは、全く勃起しないという現象ではなく、性的に興奮を感じた時は勃起して挿入できるものの、性行為中にその勃起を維持できず途中で萎えてしまう状態を指します。
中折れもEDの一形態であり、特に40代前半の男性に多く見られ、50代になると男性の6割以上が経験する症状です。
また、近年では20代の若い世代でも3.5人に1人が中折れを経験したことがあるという調査結果もあり、40代・50代以降で起こる問題ではなくなってきていることがわかります。
中折れの原因は「コンディション不足」「お酒を飲みすぎた」などの理由と考えている方が多いようですが、それ以外にも心理的な要因や潜在的な病気が関連している場合もあります。
もし原因が病気に起因する場合、放置すると健康に関わるリスクを伴うこともあります。
まずは中折れの原因を把握し、改善に向けた適切な対策をとりましょう。
中折れを引き起こす原因は、大きく分けて4つのタイプに分類されます。
1つの要因だけで起こることは稀で、多くの場合、複数の要因が重なり合って発症する混合型EDが主流です。
器質性EDは加齢によって発症する
器質性EDとは、神経や血管に異常が生じることで、勃起がうまくいかなくなるタイプのEDです。
この器質性EDの最も一般的な原因は、加齢による動脈硬化です。年齢を重ねると、血管が厚く硬くなるため、陰茎に十分な血液が送られず、勃起が困難になります。
また、動脈硬化以外にも、糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、神経に障害を与える病気も器質性EDの原因となります。
心因性ED精神的なストレスが原因で発症する
心因性EDとは、ストレスや不安、悩みといった精神的な要因によって引き起こされるEDです。具体的な例として、「性器が小さい」「包茎である」など性器に対するコンプレックスやEDへの不安、妊活に対するプレッシャーなどが挙げられます。
日常生活でのストレスや、過去の性行為の失敗によるトラウマがあると、視覚や触覚からの性的な刺激が陰茎にうまく伝わらず、中折れを引き起こすことがあります。
器質性EDは40代以降に多い一方、心因性EDは20代の若い世代でも発症する可能性があります。
混合性EDは器質性EDと心因性EDが混ざりあって発症する
混合性EDは、器質性と心因性の要因が複雑に絡み合って起こるEDです。
加齢による器質性EDで勃起力が低下していると、性行為がうまくいかないことがあり、それが原因でトラウマとなり、性的刺激が脳にうまく伝わらなくなって心因性EDを引き起こすこともあります。
血流が悪くなって陰茎に十分な血液が送られない上に、さらに性的刺激が脳に適切に伝わらない場合、中折れの原因となります。EDの中でも混合性EDが最も一般的で、複数の原因が関わるため、対策が難しいケースも多いです。
薬剤性ED薬の副作用によって発症する
薬剤性EDは、服用している薬の副作用によって引き起こされるEDです。
EDを誘発する可能性のある薬として、以下が挙げられます。
これらの薬は脳の神経伝達に影響を与えることがあり、それがEDの原因になる場合があります。
ただし、これらの薬を飲んだからといって必ずしも全員がEDを発症するわけではありませんが、もし中折れが気になるようであれば、薬の影響がないか確認することをお勧めします。
中折れしてしまう理由はEDというお話をしましたが、EDので原因は年代によって異なることが多いです。
20代~30代に多い中折れ
20代~30代の若い世代で中折れが多く見られる原因としては、精神的な問題や薬の副作用が考えられます
性行為の経験が少ないことによるプレッシャーや、過去の失敗がトラウマとなること、さらに疲労やストレスが心因性EDを引き起こすことがあります。
また、日常的に服用している薬の副作用が原因でEDになってしまう場合もあります。
40代に多い中折れ
40代における中折れの原因は、食生活の乱れや運動不足、飲酒や喫煙などによる生活習慣病が関係していることが多いです。
代表的な生活習慣病には、糖尿病、高血圧、高尿酸血症、肝臓病、高脂血症などがあり、これらの病気は血管や神経に障害を引き起こしやすく、結果として陰茎への血流が妨げられ、中折れの原因となる可能性があります。
50代以上の高齢者に多い中折れ
50代以降も、40代と同様に生活習慣病が原因で中折れが多く見られる傾向があります。また、加齢に伴い性欲が減退し、性的興奮や刺激を感じにくくなることも中折れの一因となります。
中折れをそのままにしておくと、早漏のリスクが高まります。
早漏とは、自分の意図に反して早く射精してしまう状態を指します。
中折れを繰り返すことで、勃起が続かないことへの不安から、射精のタイミングが早まってしまう傾向があります。
国際性医学会による早漏の定義は以下の通りです。
挿入後1分以上経過しても、意図よりも早く射精してしまう場合も早漏に該当します。
さらに、射精をコントロールできないことで不安や悩みを抱き、性行為を避けるようになってしまうケースも早漏に含まれます。
食生活の乱れや睡眠不足、運動不足、さらには飲酒や喫煙といった生活習慣の不調が、EDを引き起こす要因となることがあります。
では、ここからは中折れを予防するための具体的な対策について詳しく説明していきます。
食生活を改善する
EDと食生活は非常に密接に関連しており、栄養バランスの取れた食事を心がけることで健康が改善され、中折れが解消されることもあります。
栄養豊富な食事を摂ることで、男性ホルモンであるテストステロンの分泌が促進され、性的興奮を感じやすくなり、それが中折れの防止にもつながります。
中折れの予防や改善に役立つ主な栄養素は以下の通りです。
亜鉛 |
・牡蠣 |
---|---|
シトルリン |
・スイカ |
アルギニン |
・アーモンド |
カルニチン | ラム肉・鶏レバー・牛肉・赤貝 |
中折れを防ぐためには、高カロリーや高脂質の食事を控えることも重要です。ED診療ガイドラインによれば、高血圧患者はEDを併発するリスクが高く、さらに肥満になることでEDの発症率が上昇することが明らかになっています。
運動習慣を身につける
適度な運動を取り入れることで、血流が改善され、男性ホルモンの分泌が促進されるため、中折れの防止に役立ちます。
さらに、運動はEDの原因となる肥満やメタボリックシンドロームの予防にも効果的です。また、ストレスの解消にもつながり、心因性のED対策にも有効です。まずはウォーキングやジョギングといった軽い運動から始めてみるのが良いでしょう。
睡眠時間を確保する
中折れを予防するためには、十分な睡眠時間を確保することが重要です。
しっかりと睡眠を取ることで、男性ホルモンの分泌が促進され、性的興奮が陰茎にスムーズに伝わるため、勃起力が向上します。1週間の平均睡眠時間が5時間未満の場合、男性ホルモンであるテストステロンの分泌が10〜15%低下するという報告もあります
参考サイト:UChicago Medicine
中折れを防ぐためには、最低でも6時間以上、可能であれば7〜8時間の睡眠を確保することを心がけましょう。
ストレスを溜め込まない
ストレスを解消することで、心因性EDによる中折れを予防することが可能です。
ストレスを溜めないためには、趣味に没頭する時間を持ったり、親しい友人と話すなど、心をリフレッシュする機会を作ることが重要です。
もし趣味が見つからない場合には、日光浴も効果的です。朝日を浴びることで体内時計や自律神経が整い、1日を気持ちよくスタートさせることができます。
アルコールの飲みすぎは避ける
過度な飲酒は生活習慣病のリスクを高め、中折れを引き起こす可能性があるため、控えるべきです。
しかし、適量であれば飲酒にはリラックス効果もあるため、必ずしも完全に禁酒する必要はありません
禁煙する
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があり、それが中折れの原因となることがあります。
喫煙者にとって禁煙を突然始めるのは難しいかもしれませんが、徐々に本数を減らす方法は成功しにくい傾向があります。必要であれば、禁煙外来のサポートを受けるのも効果的な手段です。
ED治療薬を服用する
中折れはEDの一種で、勃起を維持できず、性行為を続けるのが難しい状態を指します。
ED治療薬は勃起力をサポートし、勃起を持続させる効果が期待できるため、中折れへの不安が軽減され、自信を持って性行為に臨める利点があります。
ED治療薬は、さまざまな原因によるEDに対して効果が期待できるため、生活習慣の改善だけではEDが解消されない場合、治療薬の使用を検討してみるとよいでしょう。
ED治療薬については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連ページ:ED治療薬について
全く勃起しない場合は、中折れではなく、器質性EDである可能性が考えられます。
器質性EDは、動脈硬化などの血管障害が主な原因となります。
通常、20代で動脈硬化を発症することは稀ですが、食生活の乱れや運動不足など、不健康な生活習慣が続くと、若い世代でも器質性EDが発症することがあります。
血管障害が原因のEDには、衝撃波治療が効果的です。専用の機器で衝撃波を患部に当てることで血流が改善され、EDの根本的な改善が期待できます。
中折れを改善できる市販薬はありますか?
中折れ防止のために、勃起を維持するED薬は処方箋が必要な医薬品であり、市販では購入できません。
中折れを改善するためには、医療機関を受診し、バイアグラなどのED治療薬を処方してもらうことが必要です。
市販のサプリメントで中折れを改善できますか?
サプリメントは健康補助食品であり、サプリを飲んだからといって中折れを改善する効果は期待できません。
マカや亜鉛は男性の滋養強壮や精力向上に良い影響を与えるとされていますが、あくまで体質改善を目的として取り入れるのが適切です。
太っている人は中折れしやすいですか?
肥満の人は中折れしやすい傾向があります。EDの原因の一つとして、肥満やメタボリックシンドロームが挙げられます。
これらの状態では、血液中の脂質や糖質が増え、血液が粘り気を帯びてしまい、陰茎への血流が悪くなることが原因です。
EDだけでなく、全体的な健康のためにも、食生活を見直し、適度な運動を取り入れて肥満解消に努めることが大切です。
中折れはどれくらいの人が経験する?
20代から50代の男性2,600人(各世代650人ずつ)を対象としたアンケートによると、全体の約4割が中折れを経験したことがあると回答しています。中折れの経験率は年齢が上がるにつれて増加する傾向がありますが、EDは高齢者だけの問題ではなく、20代の男性でも約3.5人に1人が中折れを経験しているというデータが報告されています。
参照:中折れや治療薬に対する男女の「ホンネ」実態調査
中折れしたら女性はどう思う?
「男性が中折れしたときにどう感じたか」というアンケート結果によると、パートナーを責める女性はごく少数で、むしろ相手を気遣う回答が大半を占めています。
しかし、その一方で、自分に魅力が足りないのではないかと、自分を責める女性も見られます。特に20代の若い女性にその傾向が強く、自分の魅力に不安を感じる女性が約4割に上ることが報告されています。
参照:中折れや治療薬に対する男女の「ホンネ」実態調査
勃起しにくくなる年齢は?
勃起しにくくなるのは30代後半からです。30代になると徐々に勃起力が低下し始め、40代に入るとEDを発症する男性が増える傾向にあります。40歳前後から体の老化が始まり、それに伴ってEDの発症率も高まることが多いです。